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親が今知っておきたい!子どもの眼瞼下垂【症状・原因・視力リスク】

[2024.11.18]

目をしっかり開けられない、片方のまぶたが下がっている、頭を後ろに傾けがち...。そんなお子様の様子に心配を感じたことはありませんか?

眼瞼下垂(がんけんかすい)は、放置すると「弱視」や「乱視」を引き起こす可能性がある重要な症状です。

「もしかして眼瞼下垂?」と心配される保護者の方々に向けて、症状や原因についてわかりやすく解説します。

眼瞼下垂について不安に思った方は形成外科と美容外科のクリニック池袋にご相談ください。

 

眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂は、上まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の力が弱くなり、まぶたが下がってしまう状態です。発症時期によって「先天性」「後天性」の2つに分かれます。

先天性の症状は、生まれたときから見られるもので、筋肉がうまく発達しないことが主な原因です。

家族に同じ症状が見られる場合もあり、片目だけに現れたり、両目に及んだりする場合もあります。

一方、後天性の症状は、生まれてから後に発症します。けがや病気が原因になることが多く、アレルギーや目の疲れが関係している場合もあります。

後天性のタイプは、状況によって症状が変わるのが特徴です。

子どもへの視力への影響

まぶたが十分に開かない「眼瞼下垂」は、子どもの視力が発達する時期に大きな影響を与える可能性があります。

特に、生後から3歳くらいまでの時期は、目が成長するためにとても大事な期間です。幼児期に目が十分に刺激を受けられないと、弱視(視力が弱い状態)になりやすいとされています。

眼瞼下垂の子どもに見られる主な症状には、次のようなものがあります。

 ✔ 視力の低下 

 ✔ 立体視(奥行きを認識する力)の障害 

 ✔ 乱視の発生

 ✔ 斜視(目の位置がずれる症状)の併発

研究によると、眼瞼下垂を持つ子どもの約15%が弱視を発症すると報告されています(Griepentrogら, 2012)。

眼瞼下垂の原因

先天的な要因

先天性眼瞼下垂の多くは散発性(非遺伝性)ですが、11.7〜19.4%に家族歴が認められています(Peixuan Wuら, 2022)。

特に、上まぶたを持ち上げる「上眼瞼挙筋」の発達が不十分な場合や、筋肉を動かす神経の発達に問題がある場合に発症します。

まれに、染色体の異常や他の先天性疾患に伴って発症するケースもあります。

後天的要因

子どもの後天性眼瞼下垂は比較的まれで、子どもの眼瞼下垂全体の10〜21%を占めます。

主な原因として、涙腺嚢胞などの腫瘍性病変顔面神経麻痺などの神経性要因事故や手術による外傷性の要因があります。

重要なのは、早期発見と適切な治療です。

放置すると弱視のリスクが高まるため、症状が見られた場合は速やかに眼科医を受診しましょう。

どのような場合に治療が必要か?

眼瞼下垂は、子どもの視力発達日常生活に大きな影響を及ぼす症状です。

視覚情報の約80%黒目(角膜)を通して取り入れられるため、まぶたが下がり視界が制限されると、視力の発達に支障をきたします。

特に生まれてから3歳ごろまでは、目の発達が活発な時期です。幼児期に適切な視覚刺激を受けられないと、弱視になるリスクが高まります。

研究によると、先天性眼瞼下垂を持つ子どもでは弱視の発生率が43.9%とされており、一般的な子ども(約3%)に比べてはるかに高い数字です

原因として、

 ✔ 視界の制限による視覚刺激の不足

 ✔ 乱視(58.5%)の発生

 ✔ 左右の視力差(不同視 24.4%)の発生

特に重症例では、眼球の発達遅延も確認されており、早期発見・早期治療が重要です。

適切な治療として、眼鏡やアイパッチによる視力矯正症状に応じた手術などがあります。

定期的な眼科検査を受け、視力発達の遅れを防ぎましょう。

重度の判断ポイント

眼瞼下垂の重症度は、MRD-1(角膜反射と上眼瞼縁との距離)で判断します。

 ✔ 重度-0.5mm以下
瞳孔が大きく隠れている状態
 ✔ 中度 -0.5~1.5mm
瞳孔の上部が一部隠れている
 ✔ 軽度 1.5~2.7mm
黒目が瞼にかかる状態

また、眼瞼下垂が進行すると、次のような代償行動が現れることも。

 ✔  頭を後ろに傾ける
 ✔  眉毛を上げる
 ✔  指でまぶたを持ち上げる

代償行動が日常的に見られる場合は、早めに眼科専門医に相談しましょう。

診断と治療方法

眼瞼下垂が疑われる場合は、眼科専門医の診察が必要です。

診察では、まぶたの下がり具体的な度合いの測定、視力検査、眼球運動の確認などが行われます。

また、弱視や斜視の有無についても詳しく調べていきます。

特に小児の場合、弱視の発生率が43.9%と高いため、早期発見・早期治療が重要です

検査結果に基づき、眼鏡処方、視能訓練、手術など、適切な治療方針が決定されます。

手術の判断基準と保険適用について

子どもの手術が必要かどうかを判断する基準には、いくつか重要なポイントがあります。

1.重症度
 ✔  MRD-1の数値が-0.5mm以下で「重度」
 ✔ 視力に明らかな影響が出ている

また、以下の場合も治療を検討しましょう。

2.機能障害
 ✔ 視野が狭い
 ✔ 頭を無意識に後ろに傾けるクセ
 ✔ 眉を上げて目を開けようとする

気づきにくいですが、子どもが一生懸命工夫しているサインかもしれません。

手術費用

 ✔ 片目で約2万円
 ✔ 両目で約5万円

ほどとされています(健康保険適用の場合)。

ただし、医療機関や症状によって異なるため、受診時に確認しましょう。

「本当に手術が必要なのかな」と迷う気持ちは自然なこと。ですが、専門医に相談すれば、不安や疑問がスッキリするかもしれません。

子どもの健やかな成長を見守るためにも、一歩踏み出してみてください。

おわりに│子どもの眼瞼下垂と向き合うために

子どもの眼瞼下垂は、親として見逃したくない大切なサインです。特に、幼児期までに適切な視覚刺激が得られないと、弱視などのリスクが高まります。

「もしかして?」と思ったときは、早めに専門の眼科を受診してみてください

症状が軽度であっても、経過をしっかり観察していくと、将来的な目のトラブルの防止につながります。

子どもが大人になったとき、「小さい頃、ママが気づいてくれてよかった」と思ってもらえるように、健やかな成長をサポートしていきましょう。

 

 

 

 

院長プロフィール
春日 航 経歴
  • 日本大学医学部卒業
  • 信州大学医学部附属病院形成外科 病棟医長
  • その後形成外科クリニック、美容外科クリニックを経て、形成外科と美容外科のクリニック池袋院長就任
資格
  • 日本形成外科学会(JSPRS) 認定形成外科専門医
  • ボトックスビスタ® 認定資格医
  • ジュビダームビスタ® 認定資格医
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